石原慎太郎都知事の場合
1967年「憲法9条は改正すべきだ」「核開発は必要だ」
(自民党入党会見で)
この辺までは、思想、言論の自由の範囲かな。ひとむかし前まではタブーだった。67年に言ったというのはちょっとすごい。
1977年「これを書いたのはIQが低い人たちでしょう」
(熊本に水俣病視察に訪れ、患者らが手渡した抗議文について)
これは差別発言だろう。
1990年「日本人が南京で大虐殺を行ったといわれるが、事実ではない。中国人が作り上げたお話であり、うそだ」「あなた方(米国人)こそ、日本に原爆を落とし、20万から30万人を殺したではないか」
(米誌プレイボーイ10月号でのインタビューで)
南京大虐殺については、数についてだけでも30万人説、7−8万人説、2ー3千人説等、様々な説があり、”なかった説”もその一つではある。中国の神経を逆なですることは確かな説。
民間人を意図的に無差別に殺戮したことは確かに国際法違反。
ブッシュもこう言っている。
いいかい、自由な国家は大量破壊兵器なんて開発しない。
See, free nations do not develop weapons of mass destruction.
( ̄Д ̄;)
1999年 ああいう人ってのは人格あるのかね」「ああいう問題って安楽死なんかにつながるんじゃないかという気がする」
(9月17日、重い障害のある人たちの治療にあたる病院を視察したあとの記者会見で)
自分の身内にいたとしてもそう思うのだろうか?ここまでくると暴論。
まるでナチスか優生論者の発言で信じがたい。
2000年「三国人」発言
「今日の東京を見ますと、不法入国した多くの三国人、外国人が非常に凶悪な犯罪を繰り返している。こういう状況で、すごく大きな災害が起きた時には大きな騒擾(そうじょう)事件すら想定される」
三国人って言葉はほとんど死語だが、関東大震災のときに朝鮮系の人びとが同じ論法で虐殺されたと聞く。デマの元になるような発言はヤバイ。
余談だが「北斗の拳」で有名な原哲夫の
阿弖流為(アテルイ)II世」という漫画で東京都知事が「不法滞在の宇宙人をやっつけろ」と言って装甲車で進撃するシーンがあって吹きだしてしまったことがある。
この知事さんは総理に「やつらは2千年もの間税金を滞納して、不法滞在してるのですぞ」と訴えていた。しかも知事の顔が石原さんに似すぎ。(笑)
2001年10月23日「少子社会と東京の未来の福祉」会議席上で
ババア発言
「この間すごい話をしたんだ、松井さんが。私はひざをたたいてその通りだと。女性がいるから言えないけど…。」
「これは僕がいっているんじゃなくて、松井孝典(東大教授)がいっているんだけど、“文明がもたらしたもっとも悪しき有害なものはババア”なんだそうだ。“女性が生殖能力を失っても生きてるってのは、無駄で罪です”って。男は80、90歳でも生殖能力があるけれど、女は閉経してしまったら子供を産む力はない。そんな人間が、きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは、地球にとって非常に悪しき弊害だって・・・・。なるほどとは思うけど、政治家としてはいえないわね(笑い)」
「昔は女にはすごいオプセッションがあったと思うんだ。男に破瓜される、そして押しこまれて犯されるという。体位からしてそういうもんでしょ。それが、今のように野放図になっちゃって。」
(『週刊女性』 2001年11月6日号より)
ブラックユーモアなのか本気なのか、ツービート時代のたけしのような発言。「政治家としてはいえない」のは分かってるようだ。
石原都知事の場合、失言と言うより確信犯的だからやっかいだ。本人は正しいと思ってる点は杉村太蔵議員も同じだが、タイゾー先生は「僕、何か変なこと言った?」って感じで、シンタロー先生は「俺は正しい」と思ってる感じがする。
石原知事の場合は文学者らしく毒がありすぎて危険ですらある。しかもあまりに多すぎる。
毒は文学だけで結構。
この辺で「失言」を分類しなおすと
1、差別や偏見に基づくもの
2、信憑性が疑わしいもの、情報源や証拠に問題があるもの、未確認情報とりわけパニックがおこるようなデマ。
3、下品なもの、人品骨柄や教養を疑われるもの、笑えない個人攻撃
4、非科学的なもの、明らかな間違い
5、意味不明なもの
6、私人としては問題なくとも、公人としてはふさわしくないもの
7、特定団体の反応が分かっていてやる意図的言動。暗黙的なタブーに触れるもの。
8、失言を誘うためにわざとガセネタをつかまされるケース
9、希望的観測
10、自分の権限をこえたもの
11、不真面目だととられるもの
ガッツ石松氏は「ペットは?」と聞かれ、熱帯魚のネオンテトラと間違って「テトラポッド」と答えたそうだが、議員ではないので
テトラポッドを飼っていても全く問題ない。
タイゾー先生は6、永田議員は2と8に注意した方がよいと思う。
ブッシュやクエールに何故4と5が多いのかは謎である。合衆国の国家機密とも言われている。
7はイスラム教徒への風刺画とか相手の反応が予想できるだけに悪意と受け取られるケース。
「失言」とはちょっと違うかもしれない。特定勢力のトラウマを刺激するのを分かっていてあえてやるケース。どこまでが「言論の自由」(思想、行動の自由)なのか判定が難しい。
ホロコーストを否定したり、ナチス式敬礼をしたりするのもタブー。欧州では違法ですらある。
南京大虐殺もこの部類だが、欧州におけるナチスの所業ほどには深刻に扱われていない。
9は昨年の選挙前に亀井さんが「500パーセント解散は無い」と言ったようなケース。見通しが甘いと見られて損である。
10は消費税や人事に関して武部さんが先走って発言し、後で首相が否定したようなケース。
個人的希望と党の意見は区別すべき。
11の例 ブッシュ大統領の発言
記者団の「誕生日を迎え、どんなお気持ちですか?」との質問への答。
I feel older.
(年をとったと思う。)
イギリスで子供にホワイトハウスはどんなところかとの質問への答。
It is white.
(白いよ。)
悪気は無くとも、質問した側は怒ります。